エステサロンの独立開業にあたって、マンションの一室を使ったエステ店は資金的なハードルが低く、始めやすいというメリットがあります。しかしながら、マンションの内装はあくまでも居住を目的として作られている ため、営業の上で住居感が見えれしてしまうのがデメリットでした。ここに紹介する施工事例は、生活感を消しつつ、退去時の原状回復工事も抑えられる内装デザイン・設計計画です。
マンションでエステを開業する場合、壁やそれに伴う柱を簡単に作れない(原状回復工事が必要)ので、先述の住居感をどう見せなくするかや、施術空間と待合・接客スペースを視覚的に区切るかといったところが悩みの種。そこで、架にジャッキと組み合わせて 造作した柱を組み、空間を隔てる壁を作りました。 このエステサロンは個人の開業計画だったため、接客中はスタッフと1対1になること(第3者がいない)、閉塞感を出さないため、敢えて天井まで仕切られた壁とはしていません。
エステ開業で原状回復を考えたときに、もう1つ問題となるのが床です。特に施術空間では、オイルなどの液体が垂れてしまうことで、シミなどの跡が残ってしまいます。そこでこのエステサロンでは、既成の滑り止めがついた塩ビタイルを敷き詰めて その課題もクリアすることができました。
非日常空間を演出するために、唯一、原状回復の必要性込みで内装を変更したのがエントランス(実際は普通の玄関)。写真 右のようなマンションに入り、共用スペースを抜けて入店してきたお客様が、エントランスへ踏み込んだ瞬間に別空間に誘うこと、世界観を変更することを意図して制作しています。カラーガラスと目地の組み合わせで造作した壁にロゴをあしらい、間接照明を灯し、「玄関」からエントランスに変貌させました。
こちらは別のエステ店(同じくマンションタイプ)の事例です が、写真左側の壁は上に説明したジャッキを利用した柱で制作された壁になります。壁の上部を見るとわずかに隙間があり、ジャッキの部分が確認できます。しかしながら、アートの装飾と証明を効果的に利用することで、人の目線をその上に向けないような工夫がなされています。 化粧台といわゆる「ハリウッドミラー」と呼ばれる鏡(を合む壁 も)も、横のジャッキの柱で作った壁と連なった造作の家具です。少し目線を上げれば、その後ろにカーテンがあり、実際には窓が付いているのがわかります。「元がマンションであること」を完全に見せなくすることは難しいのですが、目線を引く ポイントを作ることで、隠したいものは目立たせないようにすることがでるのです。